介護の派遣は通常の登録型派遣とは別に「紹介予定派遣」という働き方があります。
紹介予定派遣とは
一定期間派遣社員として働き、本人と派遣先の双方の同意があれば、その職場で正社員として雇用される制度です。
紹介予定のメリットは、派遣として働くことで職場を見極めることができます。言い変えれば自分に合った職場が見つかるまで派遣社員として職場を変えることができます。
紹介予定制度を利用したからとはいえ、絶対に正社員にならなければいけないプレッシャーもないので気楽に働くことができます。また、一定期間働かなくても派遣先が合わなければ辞めることも可能です。
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実際に紹介予定派遣制度を利用している方も多く、私の職場でも定期的に紹介予定派遣として働かれる方もいらっしゃいます。
そこでこの記事では、これから介護の派遣で働く予定のある方・派遣会社への登録に迷っている方向けに、紹介予定派遣と登録型派遣の違いや注意点についてまとめてみました。
派遣は登録型派遣と紹介予定派遣の2種類ある
2015年に労働者派遣法が改正され、派遣の種類は「登録型派遣(一般派遣)」と「紹介予定派遣」の2つになり、常用型派遣(特定派遣)は廃止となりました。
- 一般労働者派遣事業:登録型派遣(一般派遣)
- 特定労働者派遣事業:常用型派遣(特定派遣)
- 有料職業紹介事業:紹介予定派遣
以前の派遣事業は「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」がありましたが、法改正で「労働者派遣事業」に統一されています。
特定労働者派遣事業をしていた事業者は2018年9月29日までに労働者派遣事業へ切り替えを済ませているため、今はどの派遣会社も労働派遣事業として派遣事業を行っています。
また、法改正以降は必ず厚生労働省の許可を取らなければ派遣事業ができないルールとなったため、労働者の立場としては以前よりも安心して派遣会社を利用しやすくなっています。
登録型派遣とは
登録型派遣とは、派遣会社で派遣労働者として働くための個人情報の登録を行い、派遣会社から派遣先を紹介してもらって働く形態です。
従来の一般労働者派遣事業を略して一般派遣とも呼ばれ、一般的にいう派遣は登録型派遣のことを指しています。
3年ルールと雇用安定措置
登録型派遣の契約期間は求人ごとに様々ですが、法改正後は同一の職場で3年以上働くことができない3年ルールが設けられました。
- 派遣先で直接雇用
- 派遣元で直接雇用(契約期間のない無期雇用、正社員やパートなど)
- 新たな派遣先を紹介
- その他、紹介予定派遣を紹介など
同一組織単位(○○課など)においては最長3年間しか働くことができませんが、3年経過する見込みの場合は上記4つの雇用安定措置が派遣会社によって講じられます。
派遣会社の雇用安定措置は「義務(契約更新時に3年経過)」と「努力義務(契約1年以上から3年未満)」に区別されます。
義務が発生した派遣会社は「派遣先で直接雇用」の雇用安定措置に努める必要があり、派遣先で直接雇用ができなかった場合は2~4のいずれかの措置を講じる必要があります。
努力義務が発生した派遣会社は1から4のいずれかの雇用安定措置に努める必要があります。
つまり、介護派遣の契約期間が1年以上から3年未満の場合、必ず派遣会社が次の仕事について何かしらの提案をしてくれます。
契約期間が3年経過する場合、派遣先での直接雇用を優先して提案してくれるというわけです。
3年ルールが適用されない例外
3年ルールは以下の場合は適用されません。
- 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者
- 60歳以上の派遣労働者
- 終期が明確な有期プロジェクト業務に参加する派遣労働者
- 1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下の派遣労働者(日数限定業務)
- 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に携わる派遣労働者
とくに注目しておきたいのは「60歳以上の派遣労働者」です。
介護業界は求人が豊富ですが、それでも定年の年代となる60歳以降は正社員を含めて無期雇用が難しくなります。
そんな状況の中で介護派遣は確実に1つの転職方法となるため、3年ルールが適用されないのは大きなメリットです。
70歳など体力が続く限りは介護士として活躍することを考えているかたは、非常に嬉しい措置なのではないでしょうか。
紹介予定派遣とは
紹介予定派遣とは、派遣先で直接雇用されることを前提に働く形態です。
派遣期間は最長6ヶ月と決まっており、この試用期間を経て派遣先と派遣労働者が直接雇用に関して合意に至ると、派遣労働者は派遣先の社員になることができます。
直接雇用に至った場合の雇用形態はさまざま
紹介予定派遣は最長6ヶ月と派遣期間が決まっていますが、6ヶ月以内に直接雇用に至ることもあります。
- 正社員
- 契約社員
- アルバイト
- パート、など
直接雇用に至った場合、どのような雇用形態で採用となるのかは企業によってさまざまです。
また、紹介予定派遣は通常の転職と同じように企業側にも採用と不採用の判断が可能です。
つまり、紹介予定派遣は必ず直接雇用されるわけではありませんし、採用された場合も必ず正社員になれるとは限りません。
紹介予定派遣と登録型派遣の違い
紹介予定と登録型派遣のもっとも大きな違いは、派遣契約が終了した後の立場です。登録型派遣は契約が終了しても登録したままであれば、再び派遣として新たな派遣先で働くことができます。紹介予定派遣は派遣会社から派遣先だった職場で雇用されます。
紹介予定派遣の場合、「気に入った職場で正社員になりたい」という意志と派遣先の同意があることが前提ですが、派遣として働くのは最長で6ヶ月です。6ヶ月の間は派遣社員なので、万が一その職場で正社員になりたくないと思えばキャンセルも可能です。
あわせて読みたい:登録型派遣の登録~就業開始までの流れ
紹介予定と登録型はどちらが良い?
今後も派遣社員として働き続けたい方・週2,3回のパート感覚で働きたい方は登録型派遣がオススメです。なぜなら、派遣社員は直接雇用されているよりも融通がききますし、業務の負担も少ないからです。
派遣社員には難しい業務や記録などもそう多くありません。(サービス形態によって異なります)それに、直接雇用で週2,3回働くよりも派遣社員として働いたほうが圧倒的に給与も高いです。嫌になれば辞められるし、介護の経験も積めるので心身ともにラクですよ。
関連記事:特養での派遣社員の業務内容とは?
紹介予定派遣の場合、今の職場で正社員になれない方や、いきなり正社員として働くのは自信がないという方にオススメです。
一定期間働いた後に正社員になりますが、最初は派遣なので職場をじっくり見極められます。つまり、自分に合った職場が見つかるまでは派遣社員として働くことができるので、派遣先をいくら変えても職歴を傷付けません。良い職場が見つかれば正社員になればいいのです。
介護の職場では入職してもすぐに辞めてしまう方が多いので、こうしたリスクも減らすことができます。
あわせて読みたい:【失敗しないコツ】人間関係が良い職場の特徴とは?
紹介予定派遣のメリットまとめ
紹介予定派遣であっても派遣社員に変わりありませんので、気楽に働いてみましょう。私は登録型派遣として働いた経験がありますが、契約満了前には派遣先より正社員になってほしいと言われました。
紹介予定派遣じゃなくても正社員になれるとわかり、「正直どっちでもいいのかな?」という印象もありましたよ。(派遣会社によってちがうかもしれませんが)
逆に言えばこうした柔軟なところも介護の派遣のメリットといえるのではないでしょうか?
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登録型派遣と紹介予定派遣それぞれのメリットとデメリット
登録型派遣と紹介予定派遣のメリットとデメリットは、普通に転職活動を行い直接雇用を目指す場合に比べてどのような違いがあるのかを抑えておきたいところです。
とくに直接雇用を希望しなくて介護派遣で稼ぎたいなら、メリットやデメリットは関係なく登録型派遣しか選択肢はありません。
登録型派遣のメリット
登録型派遣は同一の職場で3年間働き続けることができると、派遣先での直接雇用を優先して雇用安定措置を受けられることが主なメリットです。
- 1年以上なら雇用安定措置に期待できる
- 3年以上なら派遣先で直接雇用が優先される
- 契約期間に関係なく紹介予定派遣を紹介してくれる可能性もある
- 派遣元で無期雇用のチャンスもある
- さまざまな職場を転々とすることが将来の転職で有利に働く可能性がある
目先は介護派遣で稼ぎながら数年以内には直接雇用を目指したいというかたは相性が良いです。
介護派遣においては、転職サイト兼派遣会社で無料で介護資格を取れるところもあり、その場合に登録型派遣で働くことが条件になっているケースがあります。
そのため、 働きながら介護資格を取りたいというかたは、登録型派遣を利用するメリットは大きいです。
また、未経験者で介護職の経験を積みたい場合も登録型派遣のほうが気軽にスタートしやすいでしょう。
登録型派遣のデメリット
登録型派遣の雇用安定措置は1年以上の3年未満で努力義務が発生するため、確実に雇用安定措置を受けるためには最低でも1年契約で働かなければなりません。
- 雇用安定措置は直接雇用が絶対ではない
- 雇用安定措置の義務や努力義務が発生する契約期間の求人があるとは限らない
- 努力義務でも1年以上の契約が必要
- 派遣先の直接雇用が優先される義務が発生するまでに3年かかる
派遣先からスカウトされたり途中で紹介予定派遣を紹介されるといったイレギュラーなケースもあると思いますが、直接雇用を目指すにしては期間が長すぎるのがデメリットです。
労力と成果が割に合わないため、普通に転職活動をして直接雇用を目指すほうがいいでしょう。
紹介予定派遣のメリット
紹介予定派遣は、最長6月を目途に直接雇用を前提として働けることがメリットです。
- 直接雇用が前提なので確実にチャンスがある
- 試用期間は最長でも6ヶ月と短い
- 6ヶ月以内に直接雇用されるケースもある
- 企業を見極められる
- 最長6ヶ月をフルに使ってアピールできる
介護派遣を通して短期間で直接雇用を目指すなら、紹介予定派遣一択です。
また、管理職などの役職に就きたい場合は登録型派遣ではほとんど求人が見つからないため、ヘルパー介護職以外で仕事を検討しているかたは基本的に紹介予定派遣に辿り着くことが多いでしょう。
紹介予定派遣のデメリット
紹介予定派遣は6ヶ月以内に直接雇用で仕事を見つけられるチャンスがあるものの、正社員以外の雇用形態での採用や不採用があることがデメリットです。
- 面接で落とされることがある
- 正社員になれるとは限らない
- 契約期間の短い契約社員なら派遣で働くほうがメリットが大きいかもしれない
- 紹介予定派遣に何度挑んでも不採用が連発するケースもある
- 登録型派遣よりも求人数が少ない
介護派遣では、登録型派遣よりも紹介予定派遣のほうが求人数が少ないです。
地域によっては紹介予定派遣を希望していてもなかなか仕事が見つからないケースがあり得ます。
介護士求人が多数あるおすすめの派遣会社
介護派遣はどのような派遣会社も登録型派遣の求人情報があり、紹介予定派遣の求人情報があるかどうかは派遣会社によります。
- 登録型派遣:一般労働者派遣事業の許可が必要
- 紹介予定派遣:有料職業紹介事業の許可が必要
紹介予定派遣を行うためには有料職業紹介事業の許可が必要で、これは転職サイトや求人サイトなど求人を紹介する事業全般に必要な許可です。
そのため、登録型派遣と紹介予定派遣の両方を扱っている会社は、「求人転職サイト」+「派遣会社」でサービスを提供しています。
一般的にはWebで人気の転職サイトを検索して見つけるケースがほとんどだと思います。
カイゴナビ派遣
2019年12月14日時点、カイゴナビ派遣の派遣求人数は93,891件です。
- 対応エリア:全国
- 登録型派遣:87,794件
- 紹介予定派遣:6,097件(紹介予定派遣で検索時)
- 合計:93,891件
カイゴナビ派遣は派遣求人が多いことが特徴で、ヘルパー介護職以外の職種でも少なからず見つけやすいです。
今の時点なら、主な職種別で「ケアマネージャー273件」・「生活相談員54件」・「サービス提供責任者30件」・「ヘルパー介護職66,454件」です。
きらケア派遣
2019年12月14日時点、きらケア派遣の派遣求人数は22,099件です。
- 対応エリア:全国
- 登録型派遣:16,489件
- 紹介予定派遣:5,610件
- 合計:22,099件
こちらも介護派遣の総求人数が多く、とくに総数から見て紹介予定派遣の割合が多いのが特徴です。
かいご畑
2019年12月14日時点、かいご畑の派遣求人数は8,427件です。
- 対応エリア:全国
- 登録型派遣:7,671件(パート含む)
- 紹介予定派遣:756件
- 合計:8,427件
かいご畑は関東や関西など都会エリアを中心に運営されているため、地方はやや求人が少ないです。
大都市周辺で介護派遣を検討しているかたにおすすめです。
まとめ
登録型派遣と紹介予定派遣の違いは、介護派遣において主に以下のようになります。
- 営業するために必要な事業許可の種類が違う
- 登録型派遣は同一職場で1年以上働くと雇用安定措置を受けられる
- 紹介予定派遣は最長6ヶ月で直接雇用を目指せる
- 介護派遣では、紹介予定派遣のほうが求人数が少ない
- 介護派遣では、紹介予定派遣のほうが職種の種類が多い
介護派遣で仕事を探すときは、職種を重視するなら紹介予定派遣のほうが仕事を見つけやすいです。
その他、時給や施設形態などに違いはありません。